「転リースで企業の資金を作れると聞いたが、仕組みはどうなっているんだろう?」
「転リースとはどういったものなのか詳しく知りたい」
企業の資金繰りを改善する目的でも使われる「転リース」という資金運営の手法ですが、あまり聞き馴染みのない言葉で難しそうな印象をもつ人が多々いるでしょう。
この記事では転リースの仕組みやメリット、注意しておきたい点などについてわかりやすく解説しています。
この記事を読めば、転リースがどのようなものなのかをしっかりと理解でき、会社の資金運用のためにどのようにして利用すればいいのかがわかります。
転リースについての概要をすでによく知っていて、すぐにリースバックの会社を確認したい方は、以下をご覧ください。
転リースとは
転リースとはリース会社から借りているものを、さらに別の人に貸し出すことです。
つまり「又貸し」状態のことを転リースといいます。
転リースされるものとしては機械設備や住宅、自動車などさまざまです。
たとえば親会社が新しく機械設備を導入し、その機械設備を子会社にも導入しようとするとき、親会社が一括でリースしたものを子会社に転リースするといったことがあげられます。
転リースを利用することで、子会社は機械設備を契約する手間が省け、スムーズに親会社と同じ機械設備を導入可能です。
賃貸住宅でいえば、海外赴任などで一時的に住めない間でも家賃は発生しますが、住めない期間を他の誰かに転リースすれば、自分が支払うべき家賃負担を減らせます。
また、転リースは個人利用が基本的に禁止されており、企業でよく行われている資産運営の手法なのです。
転リースの仕組み
転リースは資産を効率的に活用し、各当事者のニーズを満たす柔軟な仕組みです。
わかりやすく説明するために「資産を持っている会社を甲社」「リース会社をA社」「転リース先をX社」とします。
まず、「甲社」が機械設備や住宅、自動車などの資産を「A社」に売却します。
これで、資産の所有者は「甲社」から「A社」になるわけです。
「甲社」は資産を「A社」に売却することで、まとまった資金を手に入れることができます。
「A社」は買い取った資産を、「X社」に又貸し(転リース)。
X社はA社に転リース料を支払い、資産のリースを受けます。
この流れを通じて、「甲社」は不要な資産を現金化でき、「A社」は資産から利益を得るチャンスを手に入れます。
そして、「X社」は大きな初期投資をせずに必要な資産を利用できるようになります。
転リースは資金調達や資産の有効活用を目的としたビジネス戦略として、多くの企業が利用しています。
リースバックの転リースは違法ではない
リースバックした資産を転リースすることは違法ではありませんが、リース会社に無断で転リースすることはできません。
万が一、リース会社に無断で転リースした場合は違法となりますので注意しましょう。
たとえば、賃貸住宅を何らかの理由で数ヶ月空けることになった場合を例に説明します。
賃貸住宅に住んでいる人が、海外赴任で6ヶ月自宅を離れるとします。
6ヶ月後には帰国して、またその住宅を利用するのであれば、6ヶ月間の家賃は支払い続ける必要がありますね。
その6ヶ月間を第三者に貸すことができれば、家賃負担が減らせます。
しかしその住宅の所有権は、住宅を貸してくれているリース会社にあるので、勝手に第三者に貸すことはできません。
住宅を貸している会社が許可してくれるのであれば、その6ヶ月間を他の人に貸してもいい(転リース)ということになります。
このような転リースを検討する場合はリース会社に事前に連絡し、転リースの許可を正式に取得しましょう。
この手続きを怠ると契約違反となり、リース契約が解除されるリスクもあります。
正しい手続きを踏むことで安心して資産を活用し、家賃負担を軽減することが可能になります。
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転リースのメリット3選
転リースを行うことのメリットは、次の3つです。
- 資金調達ができる
- 負担が減る
- 経営状況の改善
転リースは、企業が所有する資産を最大限に活用し、その運用から直接的な経済的メリットを得るための効率的な戦略です。
加えて、転リースによって企業はお金の使い道に柔軟性を持てるようになり、長期的にビジネスを続けられるようになるでしょう。
企業が直面する多様なニーズに対応できることも、転リースの大きな魅力のひとつです。
また、転リースを利用することで、企業の財務状況を安定させ、リスク管理を強化できます。
企業が直面する課題を効果的に解決できるだけでなく、企業の長期的な成長と安定を図れます。
これらのメリットが、企業運営においてどのように具体的な影響を及ぼすのか、ひとつずつ詳しく掘り下げて確認していきましょう。
①資金調達ができる
転リースを活用する最大のメリットのひとつは、企業がすでに保有している資産を活用して、資金を調達できる点です。
資金調達には、資産を担保にして金融機関から融資を受ける方法もありますが、財務状況が厳しい場合には、融資の承認を得ることも難しいでしょう。
そのような場合に転リースを利用して資産をリース会社に売却し、必要に応じて再リースすることで、まとまった金額の資金を手に入れることができます。
まとまった金額が手に入れば、当面の資金繰りに目処をつけられたり、事業拡大のため新たな事業に投資したりすることも可能になります。
転リースは企業にとって、経済的な問題を即座に解決できる手段といえるでしょう。
さらに、転リースで資金を得る方法は比較的迅速に資金を確保できるため、緊急に資金が必要になったときにも有効な手段です。
②負担が減る
転リースを利用することで、企業は保有資産に関連するさまざまな経費やリスクから解放されます。
資産を直接所有する場合、固定資産税やメンテナンス費用、修繕費が必要です。
また、予期せぬ事故や災害による損害リスクなど、多くの金銭的負担や管理の手間が伴います。
転リースを通じてこれらの資産をリース会社に売却すれば、所有権はリース会社に移ります。
つまり資産保有に関わる負担やリスクも、リース会社の責任になるわけです。
結果的に、企業の金銭的負担や管理の手間を減らすことによって節約した経費を、新しい事業の研究や、市場拡大などのより収益性の高い活動に再投資することもできます。
これにより、企業は資金を有効に使い、長期的なビジネスの発展に繋げられます。
③経営状況の改善
企業の経営状況は、収益性指標・効率性指標・流動性指標・負債比率などを総合的にみて判断されますが、転リースを行うことによって、これらの数値を改善できる可能性があります。
企業が転リースによって資産を売却すると、資産の規模が小さくなるため、収益性の向上が見込めるでしょう。
収益性が高いということは経営状況をよく見せることができ、投資家や貸し手から「会社が健全に成長している」という信頼を得られます。
結果的に、世間からの信頼を得ることで、より良い条件でさらなる資金を調達できたり、投資が受けやすくなったりします。
転リースを通じて得た収益を、新技術の導入や市場開拓、人材育成など将来の成長に必要な分野へ再投資すれば、企業がさらに成長するチャンスにもなり得るということです。
転リースでの注意点3選
企業にとってメリットの多い転リースですが、注意しておくこともあります。
- 転リースにはリース会社の許可が必要
- リース料が市場価格より高め
- 損害発生時は責任が生じる恐れもある
転リースの利点を最大限に活かしつつ、リスクを適切に管理するためには、転リースの目的と、達成のために必要な条件を明確にしておくことが重要です。
契約の細部に関する理解が不十分な場合、あとになってから想定外の問題やコストが発生する恐れもあります。
「こんなつもりではなかったのに」という後悔を生まないよう、転リースの注意点についてもしっかり理解しておきましょう。
転リースの契約をする前には、すべての条件を慎重に検討し、必要に応じて専門家のアドバイスを求めると安心です。
それでは、転リースの注意点について、ひとつずつ詳しく説明していきます。
①転リースにはリース会社の許可が必要
転リースをするためには、リース会社の許可が必要です。
リース会社に無断で転リースすることは厳禁で、無許可での転リースは禁止されています。
無許可で転リースを行った場合には契約違反となり、最悪のケースではリース契約が解除されるだけでなく、リースしている資産を失うことにもなりかねません。
リースバック契約を結ぶ際には契約書の詳細を十分に確認し、転リースが可能かどうかをリース会社と確認しておきましょう。
実際に転リースの検討をする場合は、リース会社に対して事前に自分の計画を説明し、転リースの許可を得てください。
リース会社との密接な連携は、転リース成功の鍵となります。
転リースを行う際には、トラブルを避けるためにも、リース会社との間でしっかりとしたコミュニケーションを取っておくことが非常に重要です。
リースバックのトラブルについてはこちらの記事もご覧ください。
②リース料が市場価格より高め
転リースのリース料は、市場価格より高めに設定されることが一般的です。
リース料を決定するときに考慮される項目を一覧にしました。
- 借り手が倒産・破産するリスク
- 資産価値が低下するリスク
- 資金調達にかかる利息や手数料
- 市場における需要と供給のバランス
- 資産にかかる税金や保険料
これらの事柄を考慮し、リース会社が受けるリスクを減らすため、費用を上乗せしてリース料が決定されます。
そのため、結果的にリース料は市場価格より高めになるのです。
リース契約を結ぶ際には、これらの点を十分に理解しておく必要があります。
市場より高いリース料金は、途中で支払えなくなってしまったり、財務を圧迫してしまったりする恐れもあります。
契約する前にはリース会社とよく話し合い、お互いにとって良い条件を決めることが大切です。
加えてリース条件の変更可能性や、リース期間終了時の資産の取扱いについても、リース会社と話し合いをしておきましょう。
③損害発生時は責任が生じる恐れもある
転リースをしている企業には、リースした相手の監督責任があります。
そのため、万が一リースした相手が故意や過失によって損害を発生させた場合、貸した側にも責任が生じる恐れもあります。
わかりやすく例を挙げて説明しましょう。
物件を貸している企業をA、物件を直接借りている企業をB、Bから転リースで一部屋借りている企業をCとします。
Cが部屋の壁を壊したとします。
当然、BはCに対して起きた問題に関する責任を求めます。
しかし、その物件と直接的に契約しているのはBなので、AもBに対して責任を求めることができます。
つまり、BはCが起こした問題解決のために時間やお金を費やすことになるわけです。
そのようなことにならないために、転リース契約を結ぶ前には転リース先の企業がどういった会社なのか、背景や信頼性をしっかりと調査することが重要です。
転リースの会計処理方法
転リースをした場合の会計処理は、「リース会社にリース料を支払うときの会計処理」と「第三者からリース料を受け取るときの会計処理」が必要になります。
貸借対照表の処理方法は、次の通りです。
- 資産の部には、転リースによって得られる将来のリース料収入の権利を計上
- 負債の部には、リースバック契約にもとづいてリースしているため、そのリース債務を計上
続いて損益計算書の処理方法は、次のようになります。
- 転リースから受け取るリース料(収入)と、リースバック契約にもとづいて支払うリース料の差額を収益として計上
- 差額は、手数料収入やリース収入として、リース期間にわたって損益計算書に反映
転リースの会計処理においては、通常のファイナンスリースでみられるような利息費用の計上や売上高、売上原価の計上は行いません。
簡単にまとめると、将来に得るリース料の権利は「資産」、リースバックで物件を借りる義務は「負債」として計上し、転リースで得るお金とリースバックで払うお金の差額を「収入」として計上するということです。
まとめ
この記事では、転リースの仕組みや、転リースが企業にとってどのようなメリットをもたらすのかについて解説しました。
転リースは、手元にある資産を有効活用でき、まとまった金額の資金が生まれることで、企業の経営力をつけることができる仕組みです。
将来的に転リースを利用したいと考えている場合、「転リース可能なリース会社」を選ぶ必要があることが、重要なポイントです。
リース会社によって、リース料などの契約条件が異なりますので、細かいところまでしっかりと確認をしましょう。
また、いくつかのリース会社を比較検討した上で、自分に合ったリース会社を選ぶことをおすすめします。
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