この記事では、リースバックの契約期間について、契約の種類や一般的な契約期間の相場について紹介します。
リースバックで長く住み続けるためのポイントについても解説するので、リースバックを検討されている方はぜひ参考にしてください。
リースバックとは?2つのリースバック契約
リースバックとは自宅などの不動産をリースバック業者に売却した後に住み続ける契約です。
持ち家をリースバック業者に売却するため所有権がリースバック業者へ移転し、これまで住んでいた人は賃貸契約でこれまでの家に住み続けられます。
リースバックには「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。
それぞれ、契約期間を更新するタイミングなどに違いがありますが、詳しく違いを確認していきましょう。
【リースバックの仕組み】 ・家の持ち主はリースバック業者へ家を売却して売却代金を得る ↓ ・売却した後はリースバック業者へ家賃を支払うことで家に住み続けられる |
①普通借家契約
「普通借家契約」は一般的な賃貸契約で、契約期間が満了した後も賃貸期間を延長できる契約です。
原則として、家賃を払い続けていればずっと住んでいられる契約となっています。
契約内容によっては中途解約の条項がついていることがあるため、契約書を締結する際に契約の更新に関する条項を確認しておきましょう。
法定更新が可能
普通借家契約は契約期間が切れたときに法定更新が可能です。
法定更新とは、契約更新に関する同意が契約終了までにされていない場合、今までの契約と同じ条件で自動更新される契約を指します。
契約内容次第ではずっと住み続けることも可能なので、家賃さえ払っていれば安心してリースバック契約を結べます。
②定期借家契約
「定期借家契約」は契約期間があらかじめ定められている賃貸契約です。更新のないリースバック契約ともいいます。
更新をする場合には期間後にリースバック会社と協議の必要があり、双方の合意がない場合は借主が退去しなければなりません。
再契約に同意が必要
定期借家契約では契約期間が満了した場合、原則として更新ができません。
契約更新はリースバック業者との話し合いが必要ですが、再契約に応じてくれるケースも多いです。
一般的に、定期借家更新では家賃が安めに設定されることが多いです。
リースバックのメリット
リースバックをすることで、まとまった資金を手に入れながら持ち家に住み続けられます。
リースバックのメリットとして、以下を確認しましょう。
- 売却後も家に住み続けられる
- まとまった資金が手に入る
- 固定資産税と都市計画税の支払いがなくなる
- 売却後に買い戻しができる
リースバックでは持ち家を売却してまとまった資金を手に入れられます。
売却した後でも同じ家に住み続けられるため、これまでと同じような生活が可能です。
また、リースバックをすることで所有権がリースバック業者へ移転するため、固定資産税と都市計画税の支払い負担がなくなります。
売却後に資金の余裕ができた場合、契約内容によっては買戻しができることもメリットといえるでしょう。
リースバックのデメリット
リースバックを実施するには、メリットとデメリットを比較してリースバックを実施する必要があります。
リースバックのデメリットとして、以下のポイントをおさえておきましょう。
- 家賃を支払う必要がある
- 家賃相場より高い場合がある
- 物件の所有権がリースバック業者に移転する
- 退去しなければならない場合がある
リースバックでは物件の所有権がリースバック業者へ移転するため、毎月の家賃を支払わなければなりません。
家賃は物件の価値によって変動しますが、一般的な家賃の相場よりも高くなる場合があります。
契約内容によっては契約期間終了後に退去しなければならない場合があるので注意しましょう。
リースバックの契約期間の相場
リースバックの契約期間の相場については、2〜3年が一般的です。
しかし、契約次第ではずっと住み続けることもできるため、契約内容をよく確認しましょう。
2~3年が一般的
定期借家契約の場合、2~3年の期間が一般的です。
契約期間が完了する前から契約内容に応じた契約延長の交渉をする必要がありますので、注意が必要です。
契約次第でずっと住み続けられる
リースバックは、契約次第で住み続けることも可能です。
契約期間終了後に更新できるかどうかは契約によって異なるため、事前に契約内容を確認しておきましょう。
リースバックで長く住むためのポイント
リースバックで長く住むために注意するべきポイントとして、以下の4点を確認しましょう。
- 普通借家契約を結ぶ
- 物件の買戻しをする
- 契約内容を確認しておく
- 退去に備えておく
普通借家契約を結ぶ
先ほども紹介したように、普通借家契約なら更新期間終了後も更新することが前提であるケースが多いです。
そのため、リースバックした後でも長く住みたいなら「普通借家契約」を選ぶべきです。
物件の買戻しをする
物件の買戻し契約を締結する際は「再売買価格」、「再売買期間」を設定します。
これらを設定し、費用を支払えば、リースバック期間中に所有権が戻ってきます。
一般的に、再売買価格は物件の売却価格の1.1倍〜1.3倍であることが多いです。
オプションで買戻しのサービスがついている契約もあるため、リースバック業者に相談して買戻しの条項をつけられるか確認してみましょう。
契約内容を確認しておく
リースバック契約を締結する際は、「売買契約」と「賃貸借契約」と2種類の契約を締結しなければなりません。
このうち、賃貸借契約には賃貸期間に関する契約条件が記載されています。
契約内容によっては、リースバック締結後に買い戻せない場合があります。
また、買戻し額が確定されている場合もあるため、不利な条件にならないよう事前に契約内容をよく確認しておきましょう。
退去に備えておく
定期で契約満了時に退去する必要がある契約でなければ、期間中の退去の必要はありません。
しかし、契約内容によっては中途解約の条項が付与されている場合もあるので、契約内容を確認しておきましょう。
リースバック契約をする流れ
リースバック契約をする際は、以下の流れで手続きで進めていきます。
・リースバック業者の選定 ↓ ・物件の査定 ↓ ・リースバック業者と契約 (「売買契約」と「賃貸借契約」の2種類) |
契約には「売買契約」と「賃貸借契約」の2種類があります。
リースバック業者を選定するポイントや、契約の手続きについて詳しく見ていきましょう。
リースバック業者の選定
リースバックをする際は、まずリースバック業者を選定します。リースバックの契約条件は会社ごとに大きく異なりますので、自分に合った条件を比較しましょう。
リースバック業者を選定するポイントとしては、複数会社に見積もり(相見積もり)をとって比較することです。ホームページを確認したり実際に問い合わせたりすることによって条件を比較検討していきます。
もし将来的に買戻しを検討されている場合は「買戻し条件」が設定されていることも重視すると良いでしょう。
【リースバック業者を選定するポイント】 ・査定額 ・家賃 ・賃貸期間 ・実績 ・買戻し条件 |
物件の査定
リースバック業者を選定したら、正式に物件の売却価値を査定してもらいます。売却価値をもとにリースバックの契約条件が決まるため、物件の査定額が重要になります。
物件の査定価額は売却代金だけでなく、家賃を算出する根拠となるものです。
複数のリースバック業者に相見積もりをとってもらい、有利な条件を選びましょう。
リースバック業者と契約
査定価額に基づいてリースバック業者と契約を締結します。
リースバック契約には「売買契約」と「賃貸借契約」の2種類がありますが、契約内容を確認しておかなければトラブルに発展してしまう恐れがあります。
リースバック業者と締結する際は、契約内容をよく確認しておきましょう。
売買契約
リースバック契約を結ぶ場合、持ち家を売却するために「売買契約」をリースバック会社と取り交わします。
売買契約によって、これまで住んでいた家を売却して売却代金を得られます。
売却した不動産にいくらの価値があったのかが記されているため、リースバック契約の根拠となる書類です。
賃貸借契約
リースバック契約では売買契約を結んだ後、別途賃貸借契約を締結します。
「賃貸借契約」にはリースバックする家の契約条件が記されており、家賃や契約期間が記されています。
リースバックの家賃相場
リースバックをする場合、リースバック業者に家賃を支払う必要があります。その場合、リースバックへ支払う家賃の相場はいくらぐらいになるでしょうか。
リースバックの家賃相場は以下の計算式によって計算されるものです。
【リースバックの家賃相場】 家賃=不動産の売却価額×期待利回り÷12ヵ月 |
リースバックの家賃相場について、詳しく見ていきましょう。
不動産の売却価額
リースバックの家賃相場を計算する際は、不動産の売却価額をもとに家賃が算定されます。
不動産の売却価額が高いほど、家賃も高くなります。
期待利回り
期待利回りとは不動産が1年あたりに生み出すと見込まれる収益です。
リースバック会社は不動産を運用して利益を上げますが、この時に見込まれる収益を計算するために期待利回りを設定します。
一般的な期待利回りの相場は「6〜13%」とされています。
家賃相場の算定
家賃は不動産の売却価額に期待利回りを乗じたものを1ヵ月ごとに按分します。
例えば、売却価額が1,000万円で期待利回りが「6%」の場合、1年間に生み出すと想定される利益は「60万円」です。
この場合、家賃は60万円÷12ヵ月で5万円と計算されます。
リースバックの契約内容に注意しよう
リースバックは持ち家を売却して資金調達できる手段になるとともに、売却した後も家に住み続けられるサービスです。
大切な家をリースバックして住み続けるには契約条件を確認しておくことが重要です。
一般的に、リースバックの期間は2〜3年が多いですが、契約内容次第では長く住み続けることも可能です。
長く家に住み続けるためには「普通借家契約」を結ぶことがおすすめです。
また、リースバックをするためには、どのリースバック業者を選定するか考慮することが重要です。
契約トラブルに巻き込まれないよう、慎重にリースバック業者を選定していきましょう。