リバースモーゲージの金利相場は?変動金利の影響についても解説

「老後資金としてリバースモーゲージを検討しているけれど、金利が高そうで不安…」

「金利の影響を受けるって聞いたけど、詳しいことがわからない…」

そのようなお悩みを抱えてはいませんか?

リバースモーゲージの金利は、利用する金融機関や商品によって年1%台から4%台までの差があります。

仕組みやリスクを正しく理解せずに契約すると、最終的な返済額が想定以上に膨らんでしまうことも。

そこで本記事では、リバースモーゲージの金利相場から、主要な金融機関ごとの金利比較、金利が決まる仕組みまでをわかりやすく解説します。

変動金利がもたらすリスクや、契約前に知っておくべき注意点、リースパックとの比較についても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

リバースモーゲージの金利と仕組み

リバースモーゲージは、老後資金の選択肢となる高齢者向けの融資制度です。

民間の金融機関や公的機関が提供しており、それぞれ特徴が異なります。

仕組みや金利を理解しないまま契約すると、想定外の支払いが発生する可能性もあるため、まずは基本的な知識を身につけましょう。

リバースモーゲージの仕組み

リバースモーゲージとは、所有する自宅を担保にお金を借りる融資制度です。自宅に住み続けながら、老後の生活資金を確保できるのが最大の特徴です。

リバースモーゲージは一般的な住宅ローンとは異なり、契約期間中は毎月利息のみを返済します。元本は契約者が亡くなった後、担保である自宅を売却するなどして一括で返済する仕組みです。

融資の受け取り方は、主に以下の3つのタイプがあります。

融資タイプ
  • 年金型:定期的に一定額を受け取る
  • 一括融資型:まとまった金額を一括で受け取る
  • 自由融資型:決められた上限額の範囲で随時借り入れる

リバースモーゲージは変動金利

リバースモーゲージの金利は、市場の金利動向に合わせて定期的に見直される「変動金利」が主流です。

  • 固定金利:契約期間中、金利と返済額が変わらない
  • 変動金利:定期的に金利が見直され、返済額も変動する

変動金利は、市場金利が下がれば返済する利息も減るメリットがありますが、逆に金利が上がれば利息の負担も増えます。

収入が年金中心となる高齢者にとって、利息の増加は家計を圧迫するリスクがあることを理解しておきましょう。

リバースモゲージに関しては下記の記事で詳しく解説しています。

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金利の変動パターンを把握しておく

リバースモーゲージで採用される変動金利は、主に景気や物価の動向によって変動します。

どのような場合に金利が上下するのか、パターンを把握しておきましょう。

金利が上昇する場合

金利が上昇すると、毎月の利息返済額が増えたり、借入可能額が減るなどの影響があります。

金利が上昇する主な要因は以下の通りです。

景気の回復

景気が良くなると、個人消費や企業の設備投資が活発になり、資金需要が高まるため金利が上昇しやすくなります。

物価の上昇(インフレ)

モノやサービスの値段が上がると、お金の価値が相対的に下がります。これを抑制するために、日本銀行が政策金利を引き上げる(利上げ)ことがあり、それが金利の上昇につながります。

為替の変動(円安)

円安が進むと、海外の通貨で資産を持つ方が有利になるため、円建ての資産を売る動きが加速します。

結果として円の供給量が減り、金利が上昇します。

金利が下落する場合

金利が下落すると、毎月の利息負担は軽くなります。

金利が下落する主な要因は以下の通りです。

景気の悪化

景気が悪化すると、個人消費や企業の設備投資が停滞し、資金需要が減るため金利が下落しやすくなります。

物価の下落(デフレ)

モノやサービスの値段が下がると、消費が停滞し経済活動が鈍化します。

これを打開するため、日本銀行が金利を引き下げて(金融緩和)世の中に出回るお金の量を増やし、経済の活性化を図ることがあります。

為替の変動(円高)

円高が進むと、輸入品の価格が下がり、国内の物価も下落傾向になります。

資金需要が低下するため、金利の下落が発生します。

リバースモーゲージの金利計算方法

リバースモーゲージで毎月支払う利息額は「借入額」と「金利」で決まります。

一般的な住宅ローンの金利が年1%前後であるのに対し、リバースモーゲージの金利相場は年3%~4%台が中心です。

ここでは、金利3%で1,800万円を借り入れた場合の利息を計算してみましょう。

計算例
  1. 年間の利息額を計算する 1,800万円 × 3%(0.03) = 54万円
  2. 毎月の利息額を計算する 54万円 ÷ 12か月 = 4.5万円

この場合、毎月の返済額(利息)は4.5万円です。

計算式

借入融資額 × 金利(年利) ÷ 12か月 = 毎月の返済額(利息)

【金融機関別】リバースモーゲージの金利比較

本項目では、金融機関別のリバースモーゲージ金利を比較して紹介します。

金融機関名商品名金利(年利)※金利タイプ
楽天銀行楽天銀行リバースモーゲージ3,35%変動金利
東京スター銀行充実人生基準金利+1.95~2.95%変動金利
りそな銀行あんしん革命年3.375~5.375%変動金利

※金利は常に変動するため、最新の情報は必ず各金融機関で確認してください。

参考:
楽天銀行リバースモーゲージ
リバースモーゲージ「充実人生」金利
リバースモーゲージローン「あんしん革命」ライフイベントプラン

リバースモーゲージの金利が住宅ローンより高い理由

リバースモーゲージの金利は、一般的な住宅ローンよりも高く設定されています。

これには、金融機関側が負う特有のリスクが関係しています。

理由1:長期間にわたる貸し倒れリスク

リバースモーゲージは契約者が亡くなるまで続く超長期のローンであるため、その間の金利変動や不動産価値の変動など、不確定要素が多くなります。

金融機関にとっては、通常のローンよりも貸し倒れのリスクが高くなるため、その分が金利に上乗せされています。

理由2:担保不動産の値下がりリスク

融資の元本は、契約者の死亡後に担保不動産を売却して回収します。

しかし、売却時の不動産市況が悪化していれば、想定していた価格で売れず、融資額を回収できない「担保割れ」のリスクがあります。

このリスクも金利が高くなる一因です。

リバースモーゲージの金利リスク3選

リバースモーゲージは融資であるため、金利にまつわるリスクが存在します。

契約前に必ず以下の3つのリスクを理解しておきましょう。

リバースモーゲージの金利リスク
  1. 利息の返済金額が増える
  2. 借入可能額が減少する
  3. 資産価値の下落で返済を求められる

それぞれ解説します。

1:利息の返済金額が増える

変動金利の場合、市場金利が上昇すると毎月の利息返済額も増加します。

収入が年金などで一定の高齢者にとって、返済額の増加は家計を圧迫する大きなリスクです。

将来、大幅な金利上昇があった場合、返済計画が崩れる可能性があることを念頭に置く必要があります。

2:借入可能額が減少する

リバースモーゲージの融資限度額は、担保となる不動産の評価額によって決まります。

そのため、不動産市況の悪化などで担保評価額が下落すると、融資限度額が見直され、借入可能額が減少する可能性があります。

また、金利が上昇すると毎月の利息が増え、その分元本に組み入れられるスピードが速まります。

結果として想定より早く融資限度額に達してしまい、追加の融資が受けられなくなるケースも考えられます。

3:資産価値が下がると返済を求められる

リバースモーゲージは契約者の死亡後、担保不動産を売却して元本を返済するのが基本です。

その場合、不動産価値の下落により売却額が借入残高を下回る(担保割れ)リスクがあります。

この担保割れのリスクに備え、リバースモーゲージには2つの契約タイプがあります。

  • リコース型: 不動産売却額で返済しきれなかった分を、相続人が自己資金で返済する義務がある
  • ノンリコース型: 不足分を相続人が返済する義務はない

多くの場合、ノンリコース型が選ばれますが、金利はリコース型よりも高く設定される傾向があるため注意が必要です。

金利上昇リスクへの3つの対策

変動金利による将来の返済額増加に備えて、契約前にできる対策が3つあります。

対策1:手元資金に余裕を持たせる

金利上昇リスクへの対策として、年金収入だけを返済原資と考えるのではなく、ある程度の預貯金を手元に残しておきましょう。

金利が上昇して毎月の利息返済額が増えても、余裕資金があれば落ち着いて対応できます。

対策2:金利タイプの選択肢を確認する

数は少ないですが、金融機関によっては当初の一定期間が固定金利になるプランや、上限金利が設定されている商品もあります。

変動リスクを少しでも抑えたい場合は、そうした商品がないか確認してみましょう。

対策3:繰り上げ返済を検討する

リバースモーゲージは、契約期間中に元本の一部または全部を返済(繰り上げ返済)することも可能です。

資金に余裕ができたタイミングで元本を減らしておけば、その後の利息負担を軽減でき、金利上昇への備えになります。

ただし、繰り上げ返済には手数料がかかる場合があるため、事前に確認が必要です。

リバースモーゲージの利用用途

リバースモーゲージで借り入れた資金の使い道は、原則として自由ですが、事業資金や投資目的での利用は認められていません。

シニア層の利用目的としては、主に以下のようなものが挙げられます。

リバースモーゲージのシニア層の利用用途
  • 住宅ローンの返済:残っている住宅ローンを完済し、月々の返済負担をなくす
  • 住宅のリフォーム:バリアフリー化や老朽化した設備の修繕費用に充てる
  • 住み替え・住宅の購入:より利便性の高いマンションへの住み替え費用などに活用する

退職金を住宅ローン返済に充てるのではなく、リバースモーゲージを活用することで、手元資金を老後の生活費として確保する方も増えています。

不動産担保型生活資金とは

「不動産担保型生活資金」は、国(社会福祉協議会)が運営する公的なリバースモーゲージ制度です。

主に所得の低い高齢者世帯の生活支援を目的としており、民間の商品とは異なる特徴があります。

不動産担保型生活資金の特徴

・制限が多い

・低金利で変動が少ない

・融資は毎月で上限がある

民間のリバースモーゲージの条件とは違う点がありますので、利用する方はしっかりと理解しておきましょう。

制限が多い

不動産担保型生活資金を利用するには、多くの制限があります。

たとえば以下があげられます。

不動産担保型生活資金の制限内容
  • 原則65歳以上で、世帯の収入が一定基準以下の低所得世帯
  • 同居人が配偶者または親以外にいない
  • 連帯保証人が必要
  • 資金使途は生活資金に限定
  • 担保となる不動産に一定以上の資産価値があること

誰でも利用できるわけではない点に注意が必要です。

低金利で変動が少ない

不動産担保型生活資金の金利は「年3%」または「その年の4月1日時点の長期プライムレート」のいずれか低い方が適用されます。

民間のリバースモーゲージ金利(3%〜4%台)と比較して低金利で、金利変動のリスクも少ないのが大きな特徴です。

融資は毎月で上限がある

不動産担保型生活資金の融資額は、土地評価額の70%程度が上限となり、毎月の貸付額は30万円以内と定められています。

まとまった資金を一括で借りることはできず、3か月ごとに分割して融資が実行されるので注意が必要です。

金利リスクを払拭したリースバックがオススメ

老後資金の調達方法として、リバースモーゲージのほかに「リースバック」という選択肢もあります。

リースバックは、自宅を売却して現金化し、その後は買主(リースバック会社)と賃貸契約を結び、家賃を払いながら同じ家に住み続ける仕組みです。

借入ではないため、金利は発生しません

リバースモーゲージとリースバックの主な違いは以下の通りです。

リースバックリバースモーゲージ
物件不動産全般(戸建て、マンション)土地付きの建物(マンションは不可の場合が多い)
対象者個人、法人個人
年齢制限なしあり(商品により異なる)
借り入れの有無なしあり
金利の発生なしあり
税金の負担なしあり
使用用途自由生活資金や住宅資金のみ
所有権移転する移転しない
担保の設定なし必要
家族の同居可能単身もしくは配偶者のみ
保証人なし必要
収入条件なし商品によりあり
受け取りまでの時間現金化までの時間が早い時間がかかる
その他・買い戻しできる可能性がある・周りに知られず売却できる・売却が前提

金利の変動や不動産価値の下落といったリスクを避けたい場合は、リースバックが有効な選択肢となります。

リバースモーゲージの金利に関するよくある質問

最後に、リバースモーゲージの金利に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

「長生きリスク」とは何ですか?

契約者の想定以上に長生きすることで、借入期間が長引き、利息が膨らんで融資限度額に達してしまったり、担保割れのリスクが高まることを指します。これにより、追加の融資が受けられなくなる可能性があります。

金利以外に発生する費用はありますか?

契約時に「事務手数料」「保証料」「不動産鑑定費用」「印紙代」などが必要です。これらの諸費用は金融機関によって異なるため、契約前に総額でいくらかかるのかを確認する必要があります。

リバースモーゲージの利用は金利リスクを把握しましょう!

本記事では、リバースモーゲージの金利相場や仕組み、変動金利のリスクについて解説しました。

リバースモーゲージは、自宅に住み続けながら老後資金を確保できる便利な制度ですが、変動金利による返済額の増加や、不動産価値の下落といったリスクも伴います。

一方で、借入ではないリースバックには金利リスクがありません。

それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、自身の状況に合った最適な方法を選択しましょう。

どの選択肢が自分に合っているか迷った際は、まずは一括査定などを利用して自宅の資産価値を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。

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