リバースモーゲージは、老後の資金を確保するために活用できる金融商品です。
多くのメリットを得られるリバースモーゲージですが、その利用には複数の条件が存在します。それを知らないままで老後資金の想定にリバースモーゲージを入れてしまうと、後々利用できないことが発覚して、思わぬ計画倒れにつながることもあります。
そこで本記事では、年齢や収入、推定相続人の同意など、リバースモーゲージを利用するための条件や必要な項目について徹底解説します。
将来的にリバースモーゲージを活用しようと考えている方は、ぜひご一読ください。
リバースモーゲージの概要

リバースモーゲージの仕組みを理解するためには、まず「借金をしているのに、なぜ返済しなくていいのか?」という根本的な疑問を解消する必要があります。
こちらでは、リバースモーゲージの基本的な仕組みを確認していきましょう。
リバースモーゲージとは
リバースモーゲージとは、自宅を担保にした、高齢者専用の融資(ローン)です。最大の特徴は、一般的な住宅ローンとはお金の流れが「逆」である点にあります。
通常の住宅ローンは、契約時に大きな金額を借り、そこから数十年にわたって「元金と利息」を毎月返済していくことで、借入残高が徐々に減っていきます。最終的には残高がゼロになり、家が自分のものになるという流れです。
これに対し、リバースモーゲージは「死ぬまで住み続け、最後に一括で返す」という考え方に基づいています。契約期間中は融資を受け続ける(または一括で受け取る)ため、借入残高は時間の経過とともに増えていきます。
そして、契約者が亡くなった後、担保となっていた自宅を売却することで、溜まった元金を一括返済する仕組みなのです。
リバースモーゲージの種類
リバースモーゲージには、大きく分けて「公的機関」が提供するものと「民間金融機関」が提供するものの2つの流れがあり、さらに資金の受け取り方によって3つの形式に分類されます。
こちらでは、それぞれの特徴を確認していきましょう。
年金方式(生活支援型)
毎月一定額を年金のように受け取る方式です。主に自治体や社会福祉協議会が実施する「不動産担保型生活資金」に多く見られます。
一度に大金を受け取ると使いすぎてしまう不安がある方や、公的年金の不足分を毎月着実に補いたいという方に向いています。
一括融資型(資金活用型)
契約時にまとまった資金を一気に借り入れる方式です。
主に民間銀行で取り扱われており、現在残っている住宅ローンの一括完済(借り換え)や、自宅の大規模なリフォーム、老人ホームへの入居一時金など、特定の大きな支出が既に決まっている場合に最適です。
自由融資型(極度額設定型)
あらかじめ銀行と「融資枠(極度額)」を決めておき、その範囲内であればいつでも、必要な分だけカードローンのように引き出せる方式です。
普段は借り入れをせず、急な病気や怪我、災害時の備えとして「安心の枠」を持っておきたいというニーズに応える、柔軟性の高いタイプです。
注目される住宅金融支援機構の「リ・バース60」
近年のリバースモーゲージ市場でスタンダードな基準となっているのが、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供している「リ・バース60」です。
これは60歳以上の方を対象とした商品で、月々の支払いが「利息のみ」で済むという特徴を持っています。
特筆すべきは、「ノンリコース型」という選択肢があることです。一般的な借金では、担保(家)を売っても返済しきれなかった場合、残りの借金は相続人が引き継ぐ必要があります。
しかし、ノンリコース型のリ・バース60であれば、たとえ家の売却価格が借入残高を下回ったとしても、相続人が不足分を返済する義務を負いません。
この「子供に迷惑をかけない」という安心感が、多くの高齢者に支持されている理由です。
「リバースモーゲージ」と「リースバック」の違い
自宅を活用する手段として、リバースモーゲージはリースバックとしばしば比較されますが、この2つは「融資」か「売却」かという決定的な違いがあります。
リバースモーゲージは「融資」であるため、家を担保に入れますが、所有権は変わりません。そのため、固定資産税の支払いや建物の修繕責任は引き続き自分でおこなう必要があります。また、借りたお金には「金利」が発生し、将来的な返済義務が伴います。
一方、リースバックは「売却」です。自宅を不動産会社などに売り、その代金を受け取ります。その後、新しい所有者と賃貸契約を結び、家賃を払って住み続ける仕組みです。
所有権が移転するため、固定資産税の支払いはなくなります。また、借金ではないため、金利の影響を受けることもありません。
以下では、主な違いを表形式で紹介します。
| リバースモーゲージ | リースバック | ||
| 仕組み | 不動産を担保に融資を受ける | 不動産を売却後、賃貸契約する | |
| 借り入れの有無 | あり | なし | |
| 所有権 | 移転しない | 移転する | |
| 担保の有無 | 必要 | 不要 | |
| ポイント | ・最終的には不動産を売却する ・資金の使用用途に制限がある | ・売却して賃貸に切り替え ・資金の使用用途は原則自由 | |
資金を自由に使いたい場合はリースバックもおすすめ
リバースモーゲージを利用できる条件

リバースモーゲージは、「将来、銀行側が確実に回収できるか」を厳しく問われる商品です。そのため、通常の住宅ローンよりも審査のハードルが高いと感じるケースも少なくありません。
こちらでは、4つの主要な条件について解説します。
収入の条件
リバースモーゲージでは、「安定した収入」が必須条件となります。これは元金を返すためではなく、毎月の「利息」を滞りなく支払えるかどうかを確認するためです。
収入源は公的年金のみであっても構いませんが、年収が一定額(一般的に120万円〜150万円以上)を超えていることが求められます。また、他の借入がある場合は、それらの返済額を含めた「返済比率」がチェックされます。
もし収入が少なかったり、過去に支払いの延滞があると、たとえ自宅に高い価値があっても審査を通過するのは難しくなるでしょう。
年齢の条件
年齢制限は、リバースモーゲージの「老後資金支援」という目的に沿って設定されています。
下限については、多くの金融機関が「55歳以上」または「60歳以上」としています。これより若い世代の場合、完済までの期間が長くなりすぎ、不動産価値の暴落や金利の劇的な上昇といったリスクを銀行がコントロールできなくなるためです。また、上限も「80歳まで」と決まっています。
さらに注意が必要なのは、配偶者の年齢です。契約者が亡くなった後、配偶者が住み続けられる契約にするためには、配偶者も一定の年齢に達していることが求められます。
夫婦どちらかが若すぎる場合は、利用できないケースがあることを念頭に置いておきましょう。
資金の使い道の条件
リバースモーゲージで得た資金の使い道は、原則として「老後の生活を豊かにするための資金」に限定されています(生活費、医療費、介護費用、自宅のバリアフリーリフォーム、老人ホームへの入居一時金など)。
反対に、事業資金や株式・不動産投資などの資産運用、ギャンブルなどへの使用は厳格に禁じられています。
民間銀行の商品では比較的自由なものも増えていますが、公的機関のリバースモーゲージの場合は、領収書の提出を求められるほど使い道が厳しく制限されることもあると覚えておきましょう。
担保評価の「掛目(かけめ)」という高い壁
リバースモーゲージを検討する際に、多くの人が直面するのが「評価額の掛目(かけめ)」です。自宅が市場で3,000万円で売れる価値があったとしても、リバースモーゲージで3,000万円満額を借りることは不可能です。
銀行は将来の不動産価格の下落リスクを見越して、現在の時価の「50%〜70%」程度を融資の上限として設定します。これを「掛目」と呼びます。
つまり、市場価値が3,000万円の家なら、実際に借りられるのは1,500万円〜2,100万円程度に留まるということです。
この評価の厳しさが原因で、希望する資金額に届かず、利用を断念せざるを得ないケースが多いのことが実情です。
リバースモーゲージのメリット

条件が厳しいリバースモーゲージですが、その分受けられるメリットも多いことが特徴です。
こちらでは、リバースモーゲージのメリットについて解説します。
引っ越ししなくていい
リバースモーゲージの最大のメリットは、引っ越しをおこなう必要がないことです。高齢期において、生活環境の変化は想像以上のストレスとなります。
近所付き合いや、長年通い慣れた病院、スーパーといった地域とのつながりを維持できることは、認知症予防や健康寿命の延伸にも寄与すると言われています。
リバースモーゲージなら、自宅のバリアフリー改修をしながら、その家で最期まで暮らすための資金を得られます。
高齢でも融資が受けられる
一般的な住宅ローンは、退職後の年金生活者に対して厳しい審査をおこないます。完済時の年齢が80歳までという制限があるため、60代や70代で高額な融資を受けることは事実上不可能です。
しかし、リバースモーゲージは「高齢であること」そのものが前提の制度です。収入が年金のみであっても、担保となる不動産さえあれば、銀行は審査のテーブルについてくれます。
月々の支払いは利息分のみ
通常のローンは、借りた直後から「元金」と「利息」の両方を返済しなければなりませんが、リバースモーゲージは、存命中の返済を「発生した利息のみ」に抑えられます。中には、利息分も返済せずに元金に組み込み、亡くなった後に一括精算するタイプもあります。
これにより、これまで住宅ローンの返済に回していた資金を、趣味や旅行、日々の食事の充実、あるいは将来の介護への備えなどに回すことが可能です。
リバースモーゲージの注意点
リバースモーゲージはメリットが大きい一方、「将来の不確定要素」というリスクが常に付きまといます。
注意点もしっかり理解した上で契約をおこないましょう。
金利の上昇で月の返済額が増える
リバースモーゲージは、基本的に「変動金利」です。
現在は低金利が続いていますが、今後、世界情勢や日本の経済状況によって金利が上昇した場合、毎月の利息支払額が増大します。利息の支払額が年金額を圧迫し始めると、せっかく手に入れたゆとりのある生活が破綻してしまいます。
また、利息の支払いが不要なタイプであっても、金利が上がれば借入残高が増えるスピードが加速し、後述する「融資枠の使い切り」につながるため、金利動向には常に注意を払う必要があります。
長生きした時のリスク
リバースモーゲージでの融資には上限額があるため、予想以上に長生きした場合、融資枠をすべて使い切ってしまうことがあります。枠を使い切れば、それ以上の借り入れはできなくなり、契約によっては「存命中に一括返済」を求められることがあります。
「最期まで住める」はずの仕組みが、長生きしたせいで住む場所を失う結果にならないよう、余裕を持った資金計画を立てましょう。
推定相続人の同意が絶対条件
リバースモーゲージの契約にあたっては、ほとんどの金融機関で「推定相続人全員の同意」が必須となります。これは、相続発生時に親族から「自分たちの相続分(家)を勝手に担保に入れた」という苦情や訴訟が起きるのを銀行が防ぐためです。
たとえ法的に自分の持ち家であっても、親族の反対があれば審査を通ることはありません。
利用を検討する段階で家族会議を開き、自分たちの老後の計画と家を売却することへの理解を得ておくことが、契約への第一歩です。
まとめ
今回は、リバースモーゲージの利用条件について詳しく解説しました。
リバースモーゲージは受けられるメリットが多いものの、その分条件が厳しく設定されています。年収や年齢によっては、リバースモーゲージよりリースバックの方が得られるメリットが多くなることも考えられます。
契約に進む前に、自分にとってはどの選択肢が適しているかを確認してみましょう。
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何が最適か判断できない時は、まず自宅の価値をチェックしてみてはいかがでしょうか。

