「自己破産するタイミングは?」
「自己破産以外の選択肢は?」
上記のように、自己破産について検討している方は多いのではないでしょうか。
自己破産するなら早めに手続きすることで様々なメリットがあります。
また、早期に手続きすれば自己破産を回避できる対策もあります。
今回は、「自己破産を検討するタイミング」や「自己破産以外の選択肢」などについて紹介していきます。
自己破産を検討している方は、参考にしてください。
自己破産を検討するタイミングとは?
自己破産を検討するタイミングは主に以下になります。
- 借金の返済が苦しいとき
- 収入が無くなったり収入が減ったとき
- 債権者から取立ての連絡が来たとき
それぞれのタイミングについて解説していきます。
借金の返済が苦しいとき
借金の返済が苦しい時に自己破産を検討する方も多いです。
借金の返済が苦しい時は以下のようなタイミングです。
- 毎月の返済額が、収入の3分の1を超えている
- 返済のために、生活費を切り詰めている
- 返済のために、新たな借金をしている
- 返済でストレスが溜まっている
これらの状況に当てはまる場合は、自己破産を検討した方が良いかもしれません。
自己破産は、借金をすべて免除してもらうことができる手続きです。
また、返済が困難な状況が続くと、以下のリスクがあります。
- 債権者からの取立て
- 財産への差押え
- 信用情報にキズがつく
債権者からの取立ては、精神的・経済的な負担が大きくなります。
また、財産への差押えは、生活に支障をきたす可能性があり、信用情報へのキズは、将来の借入れやクレジットカードの利用に影響を与える可能性があります。
返済が困難な状況に陥ってしまった場合は、早めに対策をする必要があります。
収入が無くなったり収入が減ったとき
借金の返済が大変だと思ったときだけでなく、収入減や出費が増えた時などの状況に陥ったときも、自己破産を検討するタイミングです。
収入減の場合、給与やボーナスの減少、失業など、さまざまな原因が考えられます。
出費の増加の場合、家族の医療費や教育費の増加、介護費など、削ることのできない費用の増加が考えられます。
これらの場合、今すぐに返済できなくなるわけではないかもしれません。
しかし、家計から返済に充てられるお金は減少するため、急な出費などで、突然返済が行き詰まってしまう可能性があります。
そのため、早めに自己破産などの債務整理を検討することで、余裕を持って将来の生活を立て直すことができます。
債権者から取立ての連絡が来たとき
債権者からの取立てを受けている場合は、早めに自己破産などを検討することがおすすめです。
取立てを受けているということは、返済が苦しくなっており、状況が悪化している可能性があります。
実際に給与差押えが始まってしまうと、手取りの4分の1が減ってしまいます。
例えば、手取り月収が30万円の場合、受け取ることのできる給与が22.5万円まで下がってしまうおそれがあります。
毎月の最低額の返済すらできていなかった状況で差押えが始まれば、生活はさらに苦しくなります。
そのため、債権者からの取立てを受けている場合は、できるだけ早く自己破産などの債務整理を検討し、早期に解決することが大切です。
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自己破産の手続きを早めにするメリット
自己破産の手続きを早めにするメリットは以下の通りです。
- 取立ての連絡を止めることができる
- 早く借金から解放される
- 手元に残せる財産が増える可能性がある
各メリットについて解説していきます。
取立ての連絡を止めることができる
自己破産を弁護士に依頼すると、弁護士が債権者に対して「受任通知」を送ります。
受任通知には、自己破産の手続きを依頼したこと、貸付や返済の履歴についての開示の要請、依頼者への直接の連絡や取立てを止めることの要請などが書かれています。
債権者は、受任通知を受け取ると、自己破産の手続きが開始されたことを認識し、取立てを中止することになります。
債権者からの取立ては、精神的や経済的にも大きな負担となります。
取立ての電話や手紙で、不安や恐怖を感じたり、生活に支障をきたしたりすることもあるでしょう。
また、取立てに応じて、返済を重ねることで、借金の額が膨らんでしまうこともあります。
自己破産を早めに始めることで、これらの負担を軽減することができます。
自己破産の手続きは、早めに始めるほど、免責される借金の額が増える可能性があります。
また、取立てを早めに停止することで、精神的ストレスや経済的な負担を軽減することができます。
自己破産を検討している方は、早めに弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
早く借金から解放される
自己破産の手続きは、通常、3~6ヶ月程度かかります。
しかし、自己破産を早めに始めるほど、免責許可決定が出る可能性があります。
免責許可決定が出れば、税金や養育費などの一部の借金を除いて、すべての借金が免除されます。
つまり、借金から解放される日が早まるということです。
借金から早く解放されるためには、早めに自己破産の手続きをすることが大切です。
借金の返済が苦しく、自己破産を検討している方は、早めに弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
手元に残せる財産が増える可能性がある
自己破産では、すべての財産が処分されるわけではありません。
生活に必要な財産は、自由財産として処分されません。
自由財産の基準は、裁判所によって異なりますが、生活必需品に加えて、現金は99万円まで、その他の財産は20万円まで、総額99万円までの財産が自由財産として認められます。
しかし、自己破産の申立てが遅れると、自由財産として認められるはずだった財産が、価値が上昇して処分対象になる可能性があります。
特に、将来受け取るであろう退職金は、確実にもらえるとは限りません。
そのため、一般的には、見込額の8分の1だけが処分対象となります。
しかし、定年などで退職が近日中であることが予想される場合には、4分の1に割合が上がり、すでに受け取ってしまっている場合には現金や預貯金として扱われてしまいます。
そのため、自由財産として確保できなくなることもあります。
自由財産に関する詳細は、裁判所の運用や個別の事情などにより異なりますので、弁護士に相談するようにしましょう。
自己破産の手続きを遅らせることのリスク
自己破産の手続きを遅らせることのリスクは以下の通りです。
- 給与を差し押さえされる
- 遅延損害金が増える
それぞれのリスクについて紹介していきます。
給与を差し押さえされる
自己破産の手続きが遅れ、債務の返済を滞納すると給与を差し押さえられます。
債務の返済を滞納すると、債権者から訴訟を起こされる可能性があります。
そして、判決が下された後は、債権者としては給料の差押え等の強制執行が可能となります。
給与を差し押さえられると、自己破産のための弁護士費用や裁判所に支払う予納金の準備が困難になり、そもそも自己破産ができなくなるおそれがあります。また、生活もより厳しいものとなります。
なので、自己破産を検討している場合は、早めに弁護士に相談し、自己破産の手続きを進めることが重要です。
遅延損害金が増える
債務の返済が困難になった場合、返済を滞納することがあります。
しかし、返済を停止すると、遅延損害金が発生することになります。
遅延損害金とは、債務者が約定された期限までに債務を返済しなかった場合に、債権者が債務者に対して請求できる金銭です。
通常の利息よりも高く設定されていることが多く、返済を滞納すればするほど、遅延損害金は膨らんでいくことになります。
例えば、借入金が100万円で、年利10%の約定返済額が月々5万円の場合、返済を停止すると、1日あたり約500円の遅延損害金が発生します。
返済を1ヶ月停止すると、遅延損害金は約15,000円になります。
遅延損害金は、借入金の額が大きければ大きいほど、返済を滞納した期間が長ければ長いほど、膨らんでいくことになります。
自己破産を検討している場合は、早めに手続きを進めることが重要です。
このように、自己破産を申し立てると、債権者からの請求や差し押さえが停止されるため、遅延損害金の発生を抑えることができます。
早期に手続きすれば自己破産以外の選択肢もある
自己破産以外の選択肢は以下になります。
- 任意整理
- 個人再生
それぞれの選択肢について解説していきます。
任意整理
任意整理とは、裁判所を介さずに、債務者と債権者との間で直接交渉して、債務の返済条件を変更する手続きです。
任意整理では、債権者との間で合意に達した場合には、その合意内容を記載した「和解書」を作成します。
この和解書で、任意整理の対象となる債権と、返済条件を定めます。
原則として、任意整理の対象となる債権は、すべての債権です。
しかし、一部の債権を任意整理の対象から除外できる場合があります。
例えば、車のローンや住宅ローンの返済が困難になった場合、任意整理をすることで、これらの借金をそのまま残して、他の借金の返済条件を変更することができます。
そうすれば、車や自宅を手放さずに、生活を立て直すことができます。
また、任意整理では、債権者と交渉して、支払い過ぎた利息(過払い金)を返還してもらうこともできます。
過払い金は、法定金利を超えて支払った利息のことで、法律上は、返還請求することができます。
過払い金が戻ってくると、借金の総額が減るため、毎月の返済額を減らしたり、返済期間を短くしたりすることができます。
このように、任意整理は、生活に必要な負債を残せたり、支払い過ぎた利息(いわゆる「過払い金」)が戻ってきたりするメリットがあります。
任意整理を検討している場合は、まずは弁護士に相談して、自分の状況に適合するかどうかを判断するようにしましょう。
個人再生
個人再生とは、裁判所の認可を受けて、負債を減額し、原則3年間で分割して返済する手続きです。
個人再生では、住宅ローンの残った自宅を、手放さずに済む可能性があるのが大きなメリットです。
住宅ローンの残った自宅を維持するためには、次の2つの条件を満たす必要があります。
- 住宅ローンの債務が、個人再生の対象となる負債である
- 住宅ローンの残債額が、自宅の価値を上回らない
これらの条件を満たしていれば、「住宅資金特別条項」を利用することができ、自宅を維持することができます。
また、個人再生では、自己破産と比べて、一定以上の価値がある財産を手元に残しやすいというメリットもあります。
自己破産では、原則として、生活に必要な財産以外のすべての財産を処分し、債権者に配当しなければなりません。
しかし、個人再生では、一定以上の価値がある財産を「自由財産」として、手元に残すことができます。
具体的には、以下の財産が「自由財産」に該当します。
- 生活に必要な衣類や家具などの家財道具
- 給与や年金などの定期収入で得られる財産
- 一定の範囲内の預貯金や株式などの金融資産
自己破産と比べて、より多くの財産を手元に残せる可能性があるため、生活を立て直しやすくなります。
このように、個人再生には、住宅ローンの残った自宅を、手放さずに済む可能性があるという大きなメリットがあります。
リースバックは自己破産後も家に住み続けることができる
リースバックとは、自宅を売却した後、その物件を賃貸物件として借りる制度です。
自己破産をしても、資金さえ貯められれば、売却した家の所有権を将来的に買い戻すことも可能です。
リースバック契約時に「買戻しの予約」をしておけば、一度売却した家でも将来的に買い戻せます。
「買戻しの予約」とは、一度売却した不動産等を買い戻すための予約のことです。
自己破産時にリースバックを利用すると、以下の3つのメリットがあります。
- 自己破産しても自宅に住み続けられる
- 自己破産や家の売却がご近所にバレにくい
- 自己破産後に固定資産税などの費用がなくなる
自己破産時にリースバックを利用する場合、以下のリスクがあるので注意が必要です。
- 相場よりも安く売却すると「詐害行為」となる恐れがある
- 債権者の許可が必要になる
- 家賃を滞納すると強制退去になる
自己破産時にリースバックを利用する場合、相場よりも安く売却すると「詐害行為」となる恐れがあります。詐害行為とは、債権者を害する目的で行った行為のことです。
リースバックで売却する際は、リースバック会社による査定を受け、相場よりも大幅に安く売却しないように注意しましょう。
また、自己破産の際には、管財人や債権者の許可を得なければならない場合があるので把握しておいてください。
リースバックでは、家賃を滞納すると居住できなくなる可能性があります。リースバック契約を結ぶ際には、家賃の条件や滞納時の措置について、しっかりと確認しておきましょう。
このように、リースバックは、自己破産しても自宅に住み続けられるというメリットがあります。しかし、相場よりも安く売却すると「詐害行為」となる恐れがあるので注意も必要です。
まとめ
今回は、「自己破産するタイミング」などについて紹介してきました。
自己破産を検討するタイミングは、以下の3つです。
- 借金の返済が苦しいとき
- 収入が無くなったり収入が減ったとき
- 債権者から取立ての連絡が来たとき
自己破産を早めに手続きすることで、以下のメリットがあります。
- 取立ての連絡が止まる
- 早く借金から解放される
- 手元に残せる財産が増える可能性がある
自己破産の手続きを遅らせると、以下のリスクがあります。
- 給与を差し押さえられる
- 遅延損害金が増える
自己破産以外の選択肢としては、任意整理と個人再生があります。
任意整理では、債権者と直接交渉して、債務の返済条件を変更することができ、個人再生では、裁判所の認可を受けて、負債を減額し、原則3年間で分割して返済することができます。
自己破産を検討している場合は、早めに弁護士に相談して、最適な方法を検討することが大切になります。
また、リースバックは、自己破産後も家に住み続けることができる制度です。
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