老後の資金を作るために、リースバックを検討している人は多いのではないでしょうか。
ただ、「本当にリースバックは危なくないのか」「後から後悔したくない」と悩む人も、少なからずいることでしょう。
リースバックで後悔しないためには、契約前にきちんとリースバックの仕組みを理解し、納得したうえで契約に進む必要があります。
本記事では、リースバックの仕組みから、契約時の注意点に至るまでを徹底解説します。
リースバックが一部で「罠」と言われている理由

リースバックが「罠」と言われている主な理由は、売却価格や家賃設定において、独自のルールが存在するためです。
ここでは、トラブルの元となりやすい5つのポイントについて、その仕組みを解説します。
買取価格が相場より低くなる
リースバックの買取価格は、一般の売却市場価格(相場)の60%~80%程度になることが一般的です。これを「安く買い叩かれた」と感じることが、罠だと言われる最大の要因です。
価格が低くなる理由は、リースバック運営会社が抱えるリスクとコストにあります。会社は物件を購入した後、借主が退去するまでその物件を自由に売却できません。将来的な不動産価格の下落リスクや、固定資産税などの保有コストを差し引く必要があるため、市場価格満額での買取は難しくなります。
「短期間での現金化」と「居住の継続」というメリットの対価として、価格が調整される仕組みであることを理解しておきましょう。
家賃が相場より高い
リースバック後の家賃(リース料)は、周辺の賃貸相場とは連動せず、「買取価格」と「期待利回り」によって算出されます。そのため、周辺の似たような物件よりも割高になるケースが散見されます。
年間家賃=買取価格×期待利回り(7%~13%程度)
例えば、2,000万円で買い取ってもらった場合、利回りが10%であれば年間家賃は200万円(月額約16.6万円)となります。
「高く買い取ってほしい」と希望して買取価格を上げると、その分だけ毎月の家賃負担も重くなるという相関関係にあるため、注意しましょう。
買戻し価格が高い
将来的に自宅を買い戻す際、その価格は売却時の価格よりも高くなることがほとんどです。一般的には、売却価格の1.1倍~1.2倍程度が目安とされています。
買戻し価格目安:2,500万円×1.1=2,750万円
金額が上乗せされる理由は、不動産取得税や登録免許税、登記費用など、業者が物件購入時に負担した諸経費を回収する必要があるためです。単に売った金額で戻せるわけではない点を、資金計画に組み込んでおきましょう。
ずっと住み続けることができない
「家賃さえ払えば一生住める」と思い込んで契約したものの、数年後に退去を迫られてしまったというケースもあります。これは、賃貸借契約の種類によるものです。
- 普通借家契約:正当な事由がない限り更新ができ、長く住み続けられる
- 定期借家契約:契約期間(2年~5年など)が満了すると、原則として契約が終了し退去が必要
多くのリースバック契約では「定期借家契約」が採用されています。再契約可能な特約がない場合、住める期間が限定されてしまうため、契約形態の確認は必ず行いましょう。
業者によって条件が異なる
リースバックは画一的な金融商品ではなく、不動産取引の一種です。そのため、依頼する業者によって買取価格、家賃、契約期間、付帯サービスの内容が大きく異なります。
A社では「買取2,000万円・家賃15万円」の提示でも、B社では「買取1,800万円・家賃12万円」となることも珍しくありません。1社の話だけを鵜呑みにすると、より良い条件を見逃してしまう可能性があります。
なので、リースバックを検討する際は必ず、複数社で検討しましょう。
リースバックのリスクについて

リースバックには、明確なリスクが3つ存在します。
これを知らずに契約してしまうと、後悔につながってしまうでしょう。
ここでは、3つのリスクとその背景について解説します。
安売りしてしまう
前述の通り、リースバックは通常の仲介売却に比べて売却価格が安くなります。
通常の売却であれば、3ヶ月~半年かけて広く買主を探すため、高値で売れる可能性があります。
一方、リースバックは業者が直接買い取るため、最短数日で現金化できるスピード感が強みです。
言ってしまえばリースバックは「スピードを優先して価格を妥協する取引」であるため、もし時間に余裕があり、少しでも高く売りたい場合は、通常の仲介売却の方が適しています。
急に家賃が変更することもある
「家賃はずっと変わらない」という認識で契約しても、将来的に家賃が値上げされるリスクはゼロではありません。
一般的には固定家賃の契約が多いですが、契約書に「経済情勢の変動や公租公課の増減により、賃料を改定できる」といった条項が含まれている場合があります。
また、定期借家契約で「再契約」をするタイミングで、賃料の条件変更を提示されるケースもあります。
口頭での「値上げはしません」という約束を鵜吞みにせず、契約書の条項を必ず確認しましょう。
大幅なリフォームができないこともある
所有権が業者に移転した後、家は賃貸物件扱いとなるため、勝手にリフォームできません。
壁紙の交換や手すりの設置といった軽微な修繕は認められることが多いですが、間取り変更や増改築を伴う大規模なリフォームは、資産価値に影響を与えるため断られるケースが一般的です。
また、設備が故障した際の修繕費負担が「貸主(業者)」なのか「借主(元所有者)」なのかも契約によって異なるため、事前の確認が必要です。
リースバックを利用する際の注意点

リースバックで失敗しないためには、契約前の確認作業が鍵を握ります。
ここでは、特に重要な3つの注意点を解説します。
売却相場を調べておく
提示された買取価格が妥当かどうかを判断するためには、自分の家の「市場相場」を知っておく必要があります。
まずは、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」を活用し、近隣の類似物件がいくらで売り出されているかを確認しましょう。
その相場の7割前後が、リースバックの買取価格として妥当なラインです。相場を知らないと、相場より著しく低い金額で契約してしまうリスクがあります。
賃貸契約の内容を確認する
リースバックの契約で最もトラブルになりやすいのが、いつまで住めるかという点です。
なので、契約が「普通借家契約」か「定期借家契約」かは、必ず確認しましょう。
- 長く住みたい場合:「普通借家契約」または「再契約の条件が明記された定期借家契約」を選ぶ
- 短期間で退去予定の場合:期間が定まっている「定期借家契約」でも問題ない
特に定期借家契約の場合は、「再契約(更新)が可能か」「その際の家賃はどうなるか」を書面で確認しておきましょう。
買戻しの条件を確認
「将来はお金を貯めて家を買い戻したい」と考えている場合、口約束は厳禁です。
以下の項目が契約書(売買契約書、または賃貸借契約書の特約)に明記されているかチェックしてください。
- 買戻し可能期間:いつまで買い戻す権利があるか(例:10年以内など)
- 買戻し価格:いくらで買い戻せるか(具体的な金額、または算出方法)
- 権利の対象者:本人のみか、子供(相続人)も買い戻せるか
担当者が代わっても権利を主張できるよう、必ず書面に残すことが鉄則です。
家族や相続人には必ず同意を得ておく
家を売却すると、将来子供たちが相続するはずだった「不動産」という資産がなくなります。事後報告で「勝手に家を売ってしまった」と知った子供と親の間で揉めるケースや、賃貸契約の連帯保証人を頼む際に反対されるケースも少なくありません。
可能な限り、推定相続人(配偶者や子供)には事前に事情を説明し、同意を得ておくことで、将来の無用な争いを防げます。
優良なリースバック業者の選び方

リースバック成功の鍵は、パートナーとなる業者選びにあります。
ここでは、信頼できる業者を見極めるためのポイントを紹介します。
取引実績が多い業者か
リースバックは長期的な契約となるため、運営会社の経営安定性と実績が重要です。
実績が豊富な大手企業や上場企業グループであれば、倒産によってオーナーが変わり、立ち退きを迫られるといったリスクを軽減できます。
また、あらゆるケースの取引に対応してきた経験から、個別の事情に合わせた柔軟なプラン(家賃設定や買戻し条件など)を提案してくれる可能性も高まります。
複数社への相見積もりから選択する
1社だけの査定で契約を決めてしまうのは、業者によって買取価格や家賃は大きく異なるため、最低でも3社程度から見積もりを取り、以下の項目を横並びで比較しましょう。
- 手元に残る金額(買取価格)
- 毎月の支払額(家賃)
- 契約の種類(普通借家or定期借家)
- 諸経費(敷金・礼金・仲介手数料など)
一括査定サービスの活用
複数社に個別に連絡し、毎回事情を説明するのは時間と労力がかかります。
効率よく条件を比較したい場合は、「リースバック一括査定サービス」の利用が便利です。このサービスを使えば、一度入力するだけで、条件に合う複数の優良業者からまとめて査定を受け取れます。
各社の条件を比較検討することで相場感が養われるので、より有利な条件を引き出すことも可能になるでしょう。
そこでおすすめなのが、一度で最大10社に一括査定(最大10社)ができる【ハウスマッチ】です。
一括査定をおこなう事で、一番条件が良いところを判断でき、実績豊富な専門スタッフと直接やり取りすることができるので、無駄な労力をかけることなく短期間でリースバック契約をおこなえます。これからリースバックの利用を検討してる方は、【ハウスマッチ】の利用をおすすめします。
まとめ
本記事では、リースバックが一部で「罠」と言われる理由や、利用時の具体的な注意点について解説しました。
リースバックは仕組み上、「売却価格が市場相場より低くなる」「家賃が利回り計算で決まる」という特徴があります。これらを理解せずに利用すると「騙された」と感じてしまいますが、仕組みを把握し、自身の目的に合致しているかを判断できれば、資金調達の強力な選択肢となります。
契約後に後悔しないためにも、契約の際は以下の3点は必ず実践しましょう。
- 契約形態(普通借家か定期借家か)を確認する
- 買戻し条件は必ず書面にする
- 複数社を比較し、相場と条件の妥当性をチェックする

